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雑観練習帳

ニュースの現場で思うことつれづれ

ドバイ・オアシス

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 日本では巷間、「ドバイ崩壊説」が流れているそうで、ドバイも急にタクシーが捕まりやすくなったり、ホテルの宿泊料金が急落しているとか、これまでの「過熱感」が収まって、どこで収束するのか気になるところだ(ビジターとしてはホテルは安い方が良く、まともな公共交通機関もない車社会なのにタクシーに満足に乗れなかった今までが異常だったと思うのだが)。
 結構日本からの駐在員の帰国も相次いでいて、引っ越し屋だけが盛況、なんて話もあるとか。
 個人的には、いったん金融・不動産セクターを中心にしたドバイバブルは崩壊するだろうし、かなりの「痛み」を伴うだろうとは思う。しかし、ドバイの本質的な価値はそういうところにはないないので、中期的にドバイの地域拠点としての価値は、かなり高いレベルで残るだろうと考えている(現地筋にもそう思っている人が多い)。
 ドバイはイスラムに浮かぶ「自由の島」である。インドから西、アラビア半島を超えて地中海に至る間で、曲がりなりにも金融、商業、メディア活動の自由が保障され、それなりのインフラレベルを兼ね備えているのはドバイ(といくつかの限定付きでカタール)くらいしか思い浮かばない。また米国の影響力が弱まり、トルコを含めたイスラム主義が広まりつつある中、これから、こういった活動の自由が広まる地域も思い浮かばない。
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 ドバイの日本料理店にはインドから西アフリカに至る地域在住の日本人が立ち寄り、現地事情を語り、ドバイでしか入手できない日本食材を持ち帰るのがすでに定番だ。最新、最大のショッピングモール「ドバイモール」には紀伊国屋書店が入居し、中東の日本人は「買いすぎないように(日本と比べると高いので)」注意しつつ、新刊書も持ち帰る。
 ドバイの勃興前、中東地域で、こういった「オアシス」の役割を果たしてきたのはロンドンを初めとした欧州圏だった。ドバイは欧州に比べれば地の利ははるかによく、中東最良の利便性を持つエミレーツ航空も使える。エミレーツ航空が欧米・日本人の「命綱」になっている地域は、実はかなり広きにわたっており、ドバイとエミレーツ航空は切り離せない存在でもある。
 テロが絶えないインド・パキスタンアフガニスタンの多くのお金持ちは「安全」を求めてドバイに拠点を構え、定住し、ビジネスを続ける。出稼ぎ労働者と違い、彼らに「帰る」選択肢はない。
 これがドバイ本来の「機能」だ。ブルジュ・ドバイや巨大人工島開発は、確かに人目を引く存在で、ドバイ投資を呼び込む広告塔になっているけれど、実はドバイにとって不可欠のものではない、と思う。
 香港の地盤沈下は、結局のところ中国本土の経済的自由化によるものだった。しかし、中東や西アジア地域がそこに至るには、まだ相当の時間が必要だろうし、「逆コース」すら十分にあり得る。ドバイが今後も価値を持ち続ける、と予測するゆえんは、そこにある。