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雑観練習帳

ニュースの現場で思うことつれづれ

エバンゲリスト

 エバンジェリストともいうけれど、Evangelicalsとは、基本的に「聖書に書いてあることは一字一句正しい」と考える人たちのことである。「キリスト教原理主義者」という言い方もあるようだ。
 2月3日(日)付朝日新聞朝刊によると(アサヒ・コムには非掲載)米国の全人口の2割から4割がエバンゲリストなのだという。
 聖書が正しいという考え方をするので、人間がサルから進化したということはあり得ないし、キリストはマリア様の処女懐胎だし…、というわけで著しく「非科学的」であり、大多数の日本人から見れば「ご冗談でしょう」という話なんであるが、彼らは大まじめ。これだけの人口比を占めれば、ユダヤ系と並んで、いやそれ以上に、米国の政治決定に大きな影響力を持っている。しかも彼らの多くは「善意にあふれた人々」である。
 ちなみに米メディアの出口調査を見ると、彼らはロムニー支持が多い。ちなみにロムニー氏はモルモン教徒であるが、マサチューセッツ州の知事になっている。
 実は日本の政治・経済界、メディアの見る米国というのは、ニューヨーク、ワシントンと西海岸、せいぜいボストン・シカゴ程度で、極端に偏っている(現地生産している一部メーカーを除く)。そして、こういった人々が住む「田舎」を見ていない。いや、日本のエスタブリッシュメントの多くはアメリカが大好きだから、あるいは見て見ぬふりをしているのかもしれない。あれだけの特派員がいながら、南部や中西部といった米国の深奥部に特派員をおいている日本メディアは存在しない。プロスポーツ選手はふつうのアメリカ人と完全な別世界に暮らしているから何の意味もないのだが、それでもイチロー、松井、松坂、みんな大陸の両岸のチームに所属していることも不幸なことだ。
 米国は広大な国であって、確かにシリコンバレーやニューヨークで起こっていることも一面の真理だが、ミネソタカンザスで起こっていることもまた米国を構成する重要な要素である。少なくとも、ニューヨークとシリコンバレーサンノゼとロサンゼルスとシアトルを見ただけでアメリカを語るのはもういい加減やめた方がいいと思うのだ。それを行うと、極めて合理的な発想をもち、豊かで、親イスラエルで、共和党とブッシュが嫌いで、経済的・学問的自由を重んじて知的水準の高い、米国の「虚像」ができあがってしまう。虚像をもとにどれだけ議論しても、正しい結論は出てこようはずがない。日本はベトナム戦争あたりから、おそらくその「虚像」にずっと踊らされ続けている。この情報があふれている時代に、もういい加減そこから脱却することはできないのだろうか?
 だって、日本も東京と京都だけじゃないでしょう?もし日本に東京と京都しかなかったなら、日本の二大政党はずっと民主党共産党であるわけですよ。