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雑観練習帳

ニュースの現場で思うことつれづれ

出版社vs漫画喫茶みたいな(俺さんへのレス)

メディア

 この前書いたエントリにとても興味深いレスがあったので、コメント欄ではなんだから、新たにエントリを立ててコメントすることにしました(RSSに反応させるため)。イ奄さん多謝。

イ奄 『そもそも新聞社のサイトってどのくらいのアクセス数があるのだろうか?
2chを見れば右も左も集めて、多くのソースから集められた情報と、その情報に対するフィードバック(一般人、工作員含めてでも)がまとめて見られる。2スレ以上に伸びてるものは関心が高いものだとわかる。
新聞社のサイトは自社のニュースしかなく、かつカテゴリと見出しだけでそのニュースを判断するしかない。無料でサービスが行われている2chとここまで差があったらあまり新聞社のサイトは見ないんじゃないか、と個人的には思うのだが、現実はそうでもないのかな?
例えば新聞に載っていない良い情報(面白いインタビュー、コラムなど)があっても、それが良ければ良いほど(そして悪ければそれ以上に)2chに転載されてしまうのではないか、という危惧がある。

かく言う私も読売、毎日の2誌を1面、1面に出ている見出しで興味のある記事、社会面と読んで、時間があれば2面〜経済までとスポーツあたりを目を通している。前日あったことをざっと目を通し、より詳しく知りたい内容は検索したり、2chのスレに目を通したりとか、そんな感じ。紙メディアの良い所はプッシュ型のメディアであること。つまりプルするのが面倒な人、技術が無い人、時間が無い人にとっては重要なんだと思う。

さて、ここまで書いて、新聞のWeb展開に対するポジティブな意見があるか、っていうと無い。アクセス数によっては広告、物販、アフィリエイトでなんとかなるかもしれないけれど、Webで同じものを書いていても、紙メディア読むやつは読む、と割り切って、Web上の記事が2chで話題になって、紙メディア購読に繋げるような、パクられ上等みたいな態度でいくのもいいんじゃないかと思うんですよ。
だめ?w』 (2007/07/04 17:41)

 小生が典型的な「作る側の論理」で書いたことに、典型的な「読む側の論理」で書いてもらったという感じです。小生もまず一読者であるわけで、2chももちろん愛読しておりますよ(笑)
新聞社サイトのアクセスについてはこんな記事がある。ただし、ネットレイティングスという、「向こう側の業界の人」が話していることではあるんだけど。

 イ奄さんと小生の論旨で一番大きな違いはコピペをどうするか、肯定的に捉えるか否定的に捉えるか、って話だと思う。
 既に週刊誌など雑誌サイトはコピペが嫌だといって、記事を一切ネットに載せていない(したがって2chにもまず転載されない。打ち直すのが面倒くさいんだろう)という状況。ジャンルは違うが、たとえばブルームバーグとかも、肝心の相場情報にはディレイをかけたり、公開サイトでの相場情報を相当絞り込んでいるわけで、現状既に、お人好しで残っているのは一般紙の新聞社だけ、という状況になりつつある。*1

 漫画喫茶はすでに出版社の経営にかなりの影響を与えていると聞くが、そうなると、漫画の収益でこれまで運営されてきた赤字部門、文学系出版物なんかがリストラの対象になる、ってことはまあ素人の自分でも想像がつく。
 そういったものには公益性があるから、政府が援助すべき(税金だが)、っていうことになるかもしれない。欧州なんかではそんな感じだし、フランスでは新聞社にも政府の経営援助があるというが。
 それはそれでよいのだが、反政府系とまではいかなくとも、非政府系の出版物は、そういう企業の下ではやはり出しにくくなるのではないか、という気がする。
 NHKは巨大な信頼度の高いニュース産業だけれども、NHKがあれば他のニュースはもう要らないよ、って考える人はやはり多くないと思う。(テレビニュース番組の話は、ニュースそのものの話とはまた違うところに問題の原点があるように思えるので。また別の機会に)

 したがって2chのようなサイトを運営するなら(YouTubeなんかも同様)、やはりコンテンツ制作に関わる代金については(流通経費や紙代なんかは不要なわけだからかなり安くできるが)何らかの形で負担してもらわないと(将来的には)いけないだろうと。過去のアーカイブは無料にしてもいいと思うけれど、リアルタイムニュースについては、まだ取材費用が減価償却されていないわけだし。
 この辺は素材提供側も分かっていないし、買う側のネット企業はもっと分かっていないだろう(分かっていて無知な新聞社を手玉に取っている、という説も強いんだが)。アメリカの新聞は購読収入ではなく広告収入で食っているから、また経営モデルがかなり違って参考にはならない、という話になっているし、最近のL.A.タイムズのリストラの状況なんかを見るとアメリカの新聞社のwebサイトもうまくはいっていないようだ。
 少なくとも取材原価がまかなえなければ、不採算業種の供給は必ず先細りになっていくわけで。まあ経済学的に言えば、最後に残った一社は独占利潤を享受できるはずなんだが(笑)*2

 これは善悪の問題ではなくて、必然ですよ。2chでコピペされ無料で読めるニュースは、「誰かが書かなければいけない」わけで、それを2chのボランティアが記者会見に交通費をかけて行ってやってもらえるのなら、そのときに本当の新たな時代が来るだろうと思う。それを否定はしないけれど。
 しかし現状だけをみれば、どう考えてもそちらの方向には向かっていないと思う。2chサイト主催者は訴訟リスクからも逃げ回っていると報道されているわけで。

 あと、最終段落の指摘は実は案外当たっているのではないかと思っていて、2chにあれだけ掲載されていたら、とっくに新聞社はつぶれているだろう(それに、テレビ局はワイドショーで新聞を壁に貼って読み上げている。あれはただ乗りでズルい、と新聞記者は思っていると思う)と思うが、案外そうはなっていない。まあ2chを読んでいれば、どうみてもイ奄さんや自分のような20-30代の男性に参加層が偏っているのははっきりしてるが、彼らはもともと新聞やテレビへのアクセスがもっとも少ない層だ(昼間家にいないことが多い)、というのもあると思うが。

こんなところでよろしいでしょうかー。

*1:今回初めて気づいたが、Yahoo!ニュースでも日本の新聞社のニュースは、クリックしてもYahooサイト内にとどまる=Yahoo!が囲い込んでいる=が、ロイターなどのニュースは、Yahoo!内でクリックしても、新しいウィンドウが開いて、ロイターのサイト内に移ってからでないと読めないようになっている。これは最終的には自社の広告展開の可否などで大きな差を生むはずで、やっぱり外資はそういうところ抜け目ない、というか、Yahoo!外資に弱いのかなぁ…。

*2:個人的には、新聞社はそろそろweb上で有償の「フルwebサービス」の実験を始めてもいい時期じゃないかと思っている。紙には紙の良さがある。でもwebの方が安価で速報性に富み、データベース性も含めると紙をしのぐ情報量を提供できるケースもあるのではないか。