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雑観練習帳

ニュースの現場で思うことつれづれ

NHKドラマ「クライマーズ・ハイ」に寄せて

メディア

 ドラマ「クライマーズ・ハイ」を見ました。

クライマーズ・ハイ [DVD]

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クライマーズ・ハイ

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 感想は「夕刊のない会社だと、昼間は余裕があるなぁ」
 新聞社というのは、どうも会社によってかなり用語の使い方が異なるようで、変に評論すると評者がどこの会社かばれてしまうような…。劇中でも業界外の人にはかなりマニアックなフレーズが飛び交っていましたね。
 とにかくリアリティにこだわったったのはそこかしこにうかがえ、劇中のNHKの中継に出てくるのは松平アナウンサーに、警視庁記者クラブ池上彰(「週刊子どもニュース」の元お父さん役)さん、さらに靖国参拝の場面の声は木村太郎氏(アフレコってことはないだろうが…)と。時事通信の速報に始まり、共同通信の速報、NHK毎日新聞の特ダネに至るまで、歴史に忠実に再現されていたようです(小生は当時働いていないので、時代考証的にあれで正しいかはなんとも)。

 ちょっと書きたかったのは、新聞社に集まる人間の話。思うに、記者族には「書きたい」タイプと「聞きたい」タイプ、の2つがあるように思えます。
 しかし、人の話を聞くのが仕事のはずなのに、この業界、自己主張は好きなくせに、どうも他人の話を聞くのが苦手な人がとても多いような気がするんですよね。
 やっぱり自己顕示欲が強い人が集まる業種なんでしょうか。

 思い込みや決めつけ…。「こうなっているはずだ」「こうに違いない」。違うといっても「お前の取材が足りない」。
 未曾有の大惨事のはずなのに、過去の経験から自分が描いたイメージに、眼前の事実の方を合わせようとしてしまう。実際、過去の誤報のほとんどは事実や情報に対する「謙虚さの不足」から出ているんですけれども。
 で、(やや強引に)劇に絡めると、主人公の遊軍記者、悠木は「日航全権デスク」を言いつけられるわけですが、デスクは記者と違って、自分で「書きたい」欲求を抑えて、というか捨てて、他人を使って取材させ、良い原稿を「書かせる」仕事。
 その葛藤が解決できないまま、悠木は「いいデスク」になろうとして、社とのあつれきに巻き込まれていく。現場記者の迷いが、訴えが分かるだけに逡巡していく。
 大体において、「書きたい」欲求を潜在的に捨てきれないままデスクになると、自分の部下に自分の価値観やニュース判断を押しつけがち。
 自分の思いに事実を合わせようと無理な要求を押しつけて、「事件は会社で起こってるんじゃない、現場で起こってるんだ!」と、嫌われる上司No.1になること請け合いです。

 なあに、名選手必ずしも名監督ならずだよ、って簡単に片付けてしまうには、この問題は深刻なんだよなぁ。