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雑観練習帳

ニュースの現場で思うことつれづれ

弁当を食えるのは学生新聞まで?

メディア

 もう何年か昔、ある社の新人記者と記者クラブ内で話をしたことがあります。
 その社では、新人研修のときに各部の紹介を兼ねて、政治部1日、経済部1日、社会部1日みたいに新人を連れ回すということをやっていました。
 で、「経済部のときは何やったの」と聞いたら、「某企業の幹部とマスコミの懇親パーティに連れて行ってもらいました!美味しいものがたくさん出てきました!」と嬉しそうに話すので、「で、会費はいくらだったの?」と聞いたら、「いえ、払ってないです。給料もまだだし」という。
 「特に経済部の人も何も言わなかったし…」というから、「そういうことはしない方がいい。接待を受けて、たとえその企業のために何もしなくても、癒着を疑われて、痛くもない腹を探られるのは記者として恥ずべきことじゃないかい?企業の人におごってもらって喜ぶのは学生新聞までにした方がいいよ」と諭したのだけど、けげんな顔をしていた彼女は果たして分かってくれたのだろうか…

 当局の情報コントロールが進み、いまどき接待なんかあり得ない警察取材とかと違って、政治や経済が取材対象なら、官庁はともかく取材を受ける側の政党・団体・企業に「自分のことをよく書いてほしい」という思惑があるのは間違いないところ。
 特に民間企業であれば、どういうやりとりがあってもお互い民間人。何の法律に触れるわけでもない。
 一方で、取材する側はそういう思惑をも上手く使って、読者に誠実に、できるだけ多くの情報を得なければいけない、ということがあるわけです
 「パワーランチ」なんて言葉があるくらいで、洋の東西を問わず、お互いをよく知るには食事をともにするのが一番いい、ということもあります。

 かといって、そこら中でタダ飯を食って接待受けて取材先寄りの記事書いて「報道」だ、なんて言っても、だれも信用してくれない、というのは明らか。例えば朝日新聞が武富士から5000万円を受け取ったことで激しいバッシングを受けました。
 要するに、法律には触れない。だからなおさら報道機関、そして最終的にはそこに属する(あるいはフリーのルポライターでも)1人1人の記者のプライドの問題なんでしょう。

 そして、記事を書いたならお金を払って読んでくれる読者への責任がある。無料のブログなら許されても、有料の新聞(本来は、民放テレビでも、「報道番組」という信用に対し広告料を払っている企業がいるはず、本来は…)ではもっと厳しい倫理が要求されるだろうと思います。泉さんは「ルポライター」として、将来生活の糧を得るつもりであれば、やはりこの辺はよく考えた方がいいのではないか。というのが、ガ島通信氏の主張でしょう。

 見方を変えれば結局そこが取材される側にとっては「宣伝」と「広報」の違いになるわけでしょう。
 でも、これが分かってない広報担当者は多いんだなあ…
 「懇親会は参加費無料ですから、ぜひ来てくださいよ!」と意気込んで言われても(まあ先方としては広報予算を確保して張り切っているのだろうけど)、こっちは「タダだったら行きたくない」っての…(この前も某社広報とそんな話を)。


 記者って損な商売ですね。
 でも、お金に潔癖でいられるというのは、資本主義社会の中で、この仕事の唯一いいところだとも思いますが。
 
 さて、「ニュースの現場で考えること」

双方の政党による「ブロガーの招き方」を見る限り、私は民主党に軍配を上げる。自民党が党側で人選を行ったのに対し、民主党側は、人選を泉あいさんに一任しているからだ。警備上の理由など種々の要因が働いた結果かもしれないが、名も無き(いや、すでに有名かな・・・)泉さんに人選を一任するというのは、相当に思い切った策ではないか(もちろん、泉さんある意味、甘くみられているからかもしれない)。ブロガーの囲い込み、ブロガーを利用した宣伝戦も、そろそろ無視できなくなってきたということなのだろう。

 という書き込みがありましたが、その考えで行くと、民主党はまだブロガーを「宣伝」対象だと思っている、ってことではないでしょうか。
 でも私なんかはそれを逆手にとって、泉さんが上手く情報を得てくればいいんじゃないだろうか、って思います。
 そして、ガ島通信さんの言う「テクニカル」に言えば。ルポライターとしての信頼度を大事にするという点では、前の原稿で書いたどれかの対応はとるべきでしょう。
 でも、それを律するのは前にも書いたのですが、フリーならば個人個人のプライドであって、最後は自らの媒体への信用をどの程度大事にするかの問題なんです。

 最後にそもそもの疑問を。
Grip Blogに経緯が載っているけれど、なんで泉さん、単独インタビューしなかったの?
 せっかく相手(しかも野党第一党党首!)が「単独インタビューOKだ」といっているのに、一番貴重な取材機会を横並びの懇談に化けさせちゃうなんて、もったいないというより、ルポライターであれ、フリージャーナリストであれ、やっぱあり得ないと思うんだけど…。
 それこそ「悪しき記者クラブ的横並び」精神ではないのかな?
 やっぱこの仕事、最後は一人でやるもの。
 そこら辺が「懇談だから弁当出しますよ」という民主党側の対応の背後にあるような気もするのですが…