雑観練習帳

ニュースの現場で思うことつれづれ

反則

ニッポン放送とフジテレビのとった対抗策(発行総株式数を上回る大量の新株予約権)について、邦資金融ディーラの言(外資の利益誘導と取られないために、あえて記す)

反則だろ。
それにしてはでかすぎるが。
ほりえもんとしては、時価より大幅に低い価格で増資することに(対して)とりあえず株主代表訴訟するんだろうな。
ほんとひでえ。
株主の意見に関係なく、株式価値をいくらでも薄められるってことだぜ。ありえない。

産経信条は

「自由と民主主義のためにたたかう」
と謳っている。
自由と民主主義は、資本主義なくしてあり得ない。
産経が社会主義に対抗する論陣を張ったのは、そのためではなかったか。
私はマスコミ人の一人として、これまでニッポン放送とフジテレビ、フジサンケイグループの経営者、社員にどちらかといえば同情的だった。
しかし、その見解は今晩、修正しなければならない。

堀江ライブドア社長の行為は(敵対的M&A)、倫理的には称賛されるものではない。
そして、ニッポン放送を傘下に収めても、恐らくうまくはいかなかっただろうとも思う。
社員の心と忠誠がつかめなければ、人材が資本のメディアの経営はうまくいかないだろう。
しかし、堀江社長の行為は資本主義市場のルールに沿った行為だった。
彼自らがいうように、単に売られている株を買っただけである。
好ましくはないが、反則ではなかった。

今回のニッポン放送とフジテレビの経営陣の取った行動。
それは、両社の経営陣が違法として当局の手にかかることはないかも知れない。
しかし、摘発はされないまでも、明らかに市場、そして資本主義への反則行為である。
株式会社は株主のものである。資本主義の第一項だ。
その大原則を自ら壊して、ニッポン放送、フジテレビという会社組織は守られるかもしれない。
しかしそれでも守るべきルール、守るべき言論があり得るだろうか。
メディアは治外法権なのだろうか。
彼らはより高い倫理を求められる、それを自ら謳っていたのではなかったのか。

ロシアなら、インドなら、中国の株式市場なら、今回の行為はあるいは許されるかもしれない。
しかしここはエマージングではない。先進国の市場なのである。
今回の行為がもし許されるとしたなら、日本の資本市場、証券市場の開放性、公平性に重大な疑問符が突きつけられる。
今回の騒動で図らずも明らかになったように、日本市場を支えているのは外資だ。
資本主義のルールを守れないことを露呈した市場は先進国としての信任を失い、外資は急速に退場していくかもしれない。
そして、そのことで日本経済は再びさらに深い闇に閉ざされるかもしれない。
ことはたかが東京の一テレビ局の問題ではないのである。
あるいは彼らは日本経済史上に残ることになるだろう。
日本の市場の信用を途上国並みにおとしめた愚行の張本人としてである。
しかも今回の騒動で、彼らは自らに守るべき価値のある言論がないことを図らずも明らかにしてしまった。
右翼であるとか、左翼であるとか、そういったことの遙か以前の、借りた金は返す、貴重な資金を会社に提供した株主の利益をおもんばかる、まさに経営者として最低限の商道徳の問題である。

ニッポン放送とフジテレビは上場すべきではなかった。
それは乗っ取りから言論機関を守るためではない。
単に上場企業の資格がなかっただけだ。