雑観練習帳

ニュースの現場で思うことつれづれ

「逃げ恥」をめぐる妄想

「逃げたら恥だが役に立つ」ってドラマがはやった。今の仕事を始めてから夜勤があるので連続テレビドラマを最後まで見るのは20年ぶりくらい。でももともとはテレビっ子で、生徒、学生時代は、深夜番組に至るまでチェックしていた(思い返せば、あの頃が日本…

選挙話に乗らない理由

たぶん、たいていの日本人より、私は日本政治に詳しいはずだ。専攻は政治学だったし、仕事を始めてからも結構長い期間、選挙や行政を間近に見てきた。日本のメディアで、地方も規模もまったく異なる3県政の取材を担当したことがある記者はほとんどいないは…

イギリスと日本

誤解がないようにいえば筆者は英国が好きである。ただ、「行きたしと思へどもいぎりすはあまりに遠し」であり、大学生にとっては物価が高く、「やっと3日もらえるのが夏休み」なサラリーマンにとっては、欧州でも遠く、飯もうまくなく、冬の陽が短い国はどう…

「抜かれて悔しい」ってことじゃない。

bylines.news.yahoo.co.jp「出張で忙しいので」備忘録的に。藤代裕之氏の取材申し込みを断っておいて、朝日新聞の取材を受けたって話。 ヤフーの社長となれば忙しい。安易に取材に応じて余計なことをしゃべって問題になるリスクもあるので、インタビューを断…

理性でなく感情に訴えることの意味とは(遺族報道について思うこと)

2016年が始まった。世界は(中東やら、北朝鮮やら)いろいろと動いているけれども、日本で何より話題をさらっているのは軽井沢の峠道でのバス事故のようである。亡くなった方に心からお悔やみを申し上げたいと思います。 ガ島通信こと藤代裕之さんが「ソーシ…

君知るや南の国、欧州と中東をつなぐ線(1)

欧州への難民危機が、日本でも急にクローズアップされてきた。 これだけ現場発の報道があふれるテーマに書くべきことがあるだろうかと思いつつも、かつて中東に住んで仕事をし、少しだけ「普通の日本人」より事情に通じている人間として、自分の中の考えをま…

遠い太鼓に誘われて、ギリシャ、南欧を語ってみる

村上春樹が南欧に住んだ時期を綴った「遠い太鼓」という旅行記があることを知ったのは、まだ内戦さめやらぬクロアチアにいったときだったから、もう20年前のことになる。自分が初めて欧州の地を踏んだのは厳冬のポーランドだったけれども、東欧研究者だった…

「危ない」地域に行くということ

危ないことをしているつもりはないが、「危なくないですか」と聞かれることがある仕事をしている。シリアに行ったことはないけれど、中東に住んだことはある。ウクライナも行った。今住んでいるところも、日本人の感覚で言えば「安全」とは言い難いイメージ…

「市民の敵」はネオナチからイスラム主義に移るか

サーバー屋さんからパスワードが破られたという連絡があり、対応に追われた。海外からのアクセスを止めるのが効果的という指摘だけれど、海外にいるとそうすることも難しい。 パリの新聞社へのテロをめぐって、日本の言論も盛り上がっている。もちろんこれが…

謹賀新年2015

本年もよろしくお願いいたします。 妻が、日記を書き始めると言ってノートを持ち帰った。対抗するわけでもなく、挫折するくらいなら始めない方がいいのと思う今日この頃ではあるが、ツイッターより少し長い年始の感想を書いてみる。 海外にいるので、見られ…

朝日新聞の第三者委員会報告書への雑感

すでに年が明けているが、昨年の振り返りでこれは記しておいた方がよいと思い、大晦日付で記したい。年末に、従軍慰安婦報道を巡る「第三者委員会」報告書 朝日新聞社 3つの検証委員会 l 慰安婦報道検証 第三者委員会・報道と人権委員会・信頼回復と再生の…

朝日新聞の「誤報」を考えてみる

日韓関係や、まして従軍慰安婦問題は専門でもないし、関心領域でもないのだが、昨晩異国の飯店で、全く異業種の方に日本のホットイシューとして問われた。ホットイシューについて思ったことを記録しておくのは、忘れっぽい私にとって一定の意味があり、ブロ…

ロシアの情と、ウクライナの心(ウクライナ・メモ5)

キエフに来たのは3度目となった。現場に来て投稿が止まるのはなぜ、と問われそうだが、本業があるので致し方ない。 ウクライナにも政治討論番組があった。金曜のゴールデンタイム。「朝まで生テレビ」より一人一人が丁寧に発言し、割り込む人はなく良心的に…

ロシアの決断と動員と(ウクライナ・メモ4)

22日にヤヌコビッチ政権が事実上崩壊し、旧野党勢力による政権掌握が進んだ。この段階の動きは洪水のような情報量の中で進んでおり、たとえキエフにいたとしても何が起こったのかはっきりと把握することは至難であったに違いない。米国はこの段階の動きを歓…

政権崩壊-2月22日の謎(ウクライナ・メモ3)

実はここまで書いて、まだヤヌコビッチ政権が崩壊していない(苦笑)。 「2月21日合意」への署名は、現地時間の夜に行われた。深夜に合意を広場で発表した野党指導者は「一斉にブーイングを受けた」と伝えられている。大体において政治的妥協というのは不人…

流血の謎、「円卓」の合意(ウクライナ・メモ2)

キエフの平和的なデモが、流血の惨事となった記憶はまだ新しい。2月の中旬のことだ。「突然」発砲が始まり、デモ隊を中心に約100人が死亡したとされる。誰が撃ったのか。広場を見下ろすウクライナホテル(マスコミもみんな泊まっていた)から指示を出してい…

クリミア発、モスクワ経由、日本行き(ウクライナ・メモ1)

クリミア、そしてウクライナが熱い。 せっかく現場を訪れる機会に恵まれたので、備忘録とともに2014年3月末現在でのおおざっぱな見立てをしておこうと思う。 とはいえすでにあらかた報道が出尽くしている中で、「ウクライナはどこですか」から書き始めるのも…

寒い中

この日だけロシア(東方)正教会の世界で水が聖水に変わるxという1月の「神現祭」の日。前日深夜に氷を割ってできる特設プールに入浴する人が現れる。発想が日本の「水垢離」と何とよく似ているのだと思うけれど、たぶん東洋的な(ユーラシア的)なものは…

キエフの街頭デモ

日本の学生運動デモを知らないわたし。ウクライナは歴史的に不安定な国であり、ロシアにとって決して手放せない場所である。しかもキャスティングボートを握る首都キエフの民意が常に揺れ動く。キエフのMaydan(独立広場)の騒動が、いつか歴史の思い出話に…

ついに氷点下

現状マイナス8~10度くらい。実は風がなければそうひどくはないのえす。今どきのアウトドア用品やダウンジャケットはなかなかよくできたものなので、頭(帽子)と足元(靴下と靴)の防寒がきちんとしていればなんとかなる。 地元市民も、ズボン下ははいて…

近代技術か伝統か

耐寒訓練!?に行ったヤクーチア(サハ共和国)でお買い物。 11月ですでにマイナス30度。これからしかし40度から50度に達すると、また別の世界が(酷寒)広がるという。ちなみに「バナナで釘が打てます」のCMはマイナス40度。車は動くが、おそらく温度差なのか…

Ту-204(Tu-204)とロシア号(乗り物2題)

ロシアでもなかなか見ることができない新型ツポレフ。中身も普通だった。ただし、ウラジオストク航空(現タイガ航空)は再編に伴ってTu-204を売却予定だと報じられている。いまのロシアの国策企業で「お金がない!」というのは考えにくいので、整備性なのだ…

(ロシアの)極東ブログ開始。

1回目はウラジオストクの30センチ要塞砲を。 夏の終わりから、ロシアに住み始めました。 石油価格が高騰して10年、日本よりいい車走ってるし、大規模公共事業で日々その姿は変わっていっていますが、まだまだ田舎も。古き良き点も、うんざりするような点も。…

記者がみる「科学報道」とiPS治療の虚報

東大病院の森口尚史特任研究員がiPS細胞を重い心臓病の患者に移植する治療に成功したと11日の読売新聞が1面と3面の2ページを使って特報、さらに11日の夕刊1面でもインタビューを掲載して報じたが、実際には(おそらくは)まったくの虚報、という結果にな…

3隣国との国境イシュー

2012年10月現在、日本の最大イシューは尖閣諸島の問題になっているといってよい。歴史的にみれば、勃興する中国と、少子高齢化で国力のピークを過ぎつつある日本との間で、初めての本格的な応酬である。まさにプロイセンの勃興に直面した20世紀初頭の英仏の…

世界のタス通信

佐藤優氏の本にもよく出てくる、モスクワのソ連国営タス通信(Телеграфное Агентство Союза Советских Социалистических Республик :Telegram Agency of the Soviet Union)本社。 いまはイタルタス通信(ИТАР-ТАСС: Информационное Tелеграфное Aгентство Р…

「日露戦争、資金調達の戦い」(新潮選書)

日露戦争、資金調達の戦い: 高橋是清と欧米バンカーたち (新潮選書)作者: 板谷敏彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/02/24メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 135回この商品を含むブログを見る 金融版「坂の上の雲」と銘打たれているが、実際はかなり…

ギリシャとプリンストンと

コレリ大尉のマンドリン (海外文学セレクション)作者: ルイ・ド・ベルニエール,太田良子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2001/09/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (3件) を見る コレリ大尉のマンドリン [DVD]出版社/メー…

ハントゥイ・マンシースク

かつてその名の通り、ハントゥイマンシ族が住んでいたという西シベリアの街。今はロシア最大級の油田地帯でバブル期を思わせる箱モノが立ち並ぶ。ロシア人の考える箱モノは、結構面白い。 夏の終わりというか、秋の初めに訪れたが、気温は10度を下回る。北海…

ソチ

再来年のソチ五輪はこんな山で行われる。カフカスの山岳民族の真似はご愛敬(ちなみに刀を振り上げているのはモルドバ人)=2007年。